福利厚生を戦略的に考える(付記)
今日はクリスマスということもあり、福利厚生を戦略的に考える際に無視できないリスクについて付記します。福利厚生に関するリスクというと、コストと期待する効果や実際に得られた成果とのバランス、新たなニーズへの対応と既に満たされたニーズとのタイムリーな入れ替えを実現するリスク(既存のニーズを満たすことができなくなる虞)、事業構造の変化と従業員の構造的な変化とのギャップなどが考えられますが、より日常的なリスクとして生活習慣や宗教上の問題があります。
例えば、クリスマスやクリスマス・イブという言葉やそれに伴うパーティーなどのイベントは、通常はあまり意識されることはないかもしれまんが、キリスト教に基づくものです。従って、キリスト教徒でない人々にとっては関係がないものです。信仰心の篤い人ほど、自分が信仰する宗教とは異なる宗教の祝祭日を強制されることほど、従うわけにはいかないでしょう。
ハロウィーンやイースターなどキリスト教系のイベントが盛んになるにつれて、また、キリスト教ではない宗教を信仰する人々が日本で居住し仕事をすることが多くなるほど、祝祭日や社内イベント及び慶弔見舞や特別休暇(特に慶弔に関するもの)について、前例通りに進めると却って大きな問題が生じるかもしれません。特に組織が公的に主宰するレクリエーションや食事・おやつの提供などは、宗教上禁忌とされているもの(タブー)を犯していないか、慎重に取り扱うことが強く求められます。
健康管理やメンタルヘルスなど、一見すると宗教とは関わりのない福利厚生プログラムと思われるものであっても、診断結果の伝え方やアンケートの設問の表現によっては問題視されるものがでてきます。同様に、福利厚生のニーズやキャリアの希望を聴くためにサーベイやインタビューを行う際にも、質問票や尋ね方はタブーを侵犯しないのは当然で、それぞれの宗教で固有の慣習や儀式などを日常的に執り行うことができているかどうかも確認すべきでしょう。
家族の捉え方の違いから問題が生じるケースもあります。家族手当や社宅の基準などは、扶養家族の状況に応じて適用される金額や居住環境の条件などが異なりますから、宗教だけでなく民族による家族観の違いも無視できません。日本人の感覚で判断すると対象者との間で大きな齟齬が生じかねません。
実際、ユダヤ教徒のアメリカ人、イスラム教徒のトルコ人、ヒンズー教徒のインド人、キリスト教徒の韓国人などの人々と同じ職場で働いた経験があれば、社内で12月24日や25日にクリスマス・パーティーを行うことはありません。1年間の仕事を慰労するのであれば、12月の他の日を選んで忘年会(Year-end Party)をランチタイムあたりに催せばよいのです。
作成・編集:人事戦略チーム+経営支援チーム(2025年12月25日)