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人材不足で倒産することがないように(1)

人材不足で倒産することがないように(1)

 

今月発表された東京商工リサーチの調査結果(注1)によると、人材不足を一因とする倒産は、今年上半期(16月)で既に昨年1年間の146件を大きく上回る172件に達しているそうです。また、後継者難による倒産は昨年の上半期より減少したものの230件と史上2番目に多く、近年の年間200件超の水準を保ち続けています。

同じように人材に起因する倒産であっても、求人難・従業員退職・人件費高騰の3要素に分けられる人材不足による倒産は、昨年、今年と急増しています。やはりコロナ禍対策がなくなり、物価高(コストアップ)の要因も重なり経営が苦しい状況にあるところに、人材不足がとどめを刺したケースが多いのでしょう。

一方、後継者難による倒産は、経営者の高齢化と後継者不在という企業社会全体、特に中小企業や小規模事業者に遍く見られる現象から生じるものですから、コロナ禍対策とか近年の物価高という要因とは関係なく、コロナ禍で全般的に死亡者数が増えた2020年に前年比で40%近くも一気に増えたのを境に、年間300件未満から一段階アップして400件超の水準で逓増傾向にあるのでしょう。

こうした動向を踏まえて今回のコラムでは、人材不足や後継者難といった人という経営資源に関連した倒産について、その原因や採るべき対策について要因別に考えていきたいと思います。

 

【注1】

詳しくは以下を参照してください。

1-6月の「人手不足」倒産 上半期最多の172件 賃上げの波に乗れず、「従業員退職」が3割増 | TSRデータインサイト | 東京商工リサーチ

上半期の「後継者難」倒産 2番目の230件 高齢化の加速で、事業承継の支援が急務に  | TSRデータインサイト | 東京商工リサーチ

 

 

作成・編集:人事戦略チーム(2025728日更新)