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働くのに最高の職場2021<2020年調査>(1)

働くのに最高の職場20212020年調査>(1

 

 今回はコロナ禍の影響もあり、例年12月に発表されていた“Best Places to Work Employees’ Choice Award”が今年は1月12日にグラスドア社より発表されました。

その直近5年の結果をまとめてご紹介したものが表1です。対象はアメリカ合衆国の大企業です。企業名を色付きで表示しているのは、直近5年のうち、3回以上ベスト10に入った企業を表しています。

 

1:直近5年間のベスト10の動向(注1)

 

2016

2017

2018

 

2019

 

2020

(今回の発表)

ベイン

フェイスブック

ベイン

ハブスポット

ベイン

フェイスブック

ベイン

ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ

ベイン

NVIDIA

BCG

BCG

インNアウト・

バーガー

ドキュサイン

インNアウト・

バーガー

グーグル

インNアウト・

バーガ

プロコア・テクノロジーズ

インNアウト・

バーガー

ハブスポット

ワールドワイド・

テクノロジー

グーグル

BCG

サモンズFG

マッキンゼー

ファスト・

テクノロジー

ルルレモン

リンクトイン

ローレンス・リバモア研究所

グーグル

インNアウト・

バーガー

ハブスポット

フェイスブック

インテュイティブ・サージカル

デルタ航空

リンクトイン

ワールドワイドテクノロジー

グーグル

アルティメット・ソフトウエア

ルルレモン

アドビ

セントジュード・チルドレンズ・リサーチ・ホスピタル

ルルレモン

VIPキッズ

マイクロソフト

10

パワー・ホーム・リモデリング

アルティメット・ソフトウエア

サウスウェスト航空

サウスウエスト航空

HEB

 

 今回の特徴は、またもナンバー1に返り咲いたベインのように安定してベスト10に位置付けられている企業が例年並みの5社に増えたことです。

コロナ禍に見舞われた2020年の企業社会の情況を考えると、“働くのに最高の職場”の判断基準が変わったり、財務上の要請から従業員に対する各種プログラムを見直さざるを得ない企業が多くなりそうなものです。しかし、もともと従業員からの評価が高い組織は安定してその評価を得ており、コロナ禍のような大きな変化に迫られる時ほど、その強みが発揮されるのが実態のようです。

特にベインとインNアウト・バーガーはベスト105年連続(2)して入っており、コロナ禍のような事業環境の激変にも適応できる組織能力の高さが窺えます。同様のことは、ハブスポット・グーグル・ルルレモンといった近年のベスト10常連企業にも言えるでしょう。

レーティングを見ると、ベスト10の企業はほぼ毎年4.24.6を獲得しており、絶えず高い評価を得ていることがわかります。コロナ禍に振り回されるのではなく、いつもどおり事業環境の変化にしっかりと立ち向かう経営姿勢が評価されているのかもしれません。

 

次に中堅・中小企業の上位10社の過去5年間の変遷を見てみましょう。

 

2:直近5年間の中堅・中小企業ベスト10の動向(注3

 

2016

2017

2018

 

2019

2020

(今回の発表)

グリーンハウス・

ソフトウエア

シルバーライン

ヒープ

ライフ.チャーチ

ライフ.チャーチ

イルミネート・

エデュケーション

ニューホーム

スター

ホライゾン・イノベーションズ

クロス・カントリー・コンサルティング

クルー・カーウォッシュ

エンテロ

ネクストセンチュリー

シルバーライン

15ファイブ

アイク

セイルポイント・

テクノロジーズ

アクセラレーションパートナーズ

マーケティング360

IGNW

パリヴェダ・ソリューションズ

シート・ギーク

ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ

デジタル・プロスペクターズ

バンブーHR

マル―フ

メトロマイル

オプローンズ

ゲット・ユー・ワイアード

ハイスポット

ハーネス

クラッシィ

グリント

ウィーヴ

ノウ・ビー4

MLMホーム・インプルーブメント

アサナ

ライフ.チャーチ

マルーフ

セールス・ロフト

レンディオ

センデロ

CBインサイト

ハイスポット

シーク・キャピタル

ジョボット

10

ライブ・ランプ

カーシールド

ピーボディ・プロパティーズ

ソートスポット

ロウワ―

 

 これまでも、事業環境の変化や自社の事業モデルの変化などに対応する余裕が小さいであろう中堅・中小企業については、トップ10に連続してランクインする企業が限られる傾向にありました。コロナ禍の下での2020年は、前年と顔ぶれが一変したであろうと予想されましたが、ベスト1は昨年と同じライフ.チャーチ(宗教法人)でした。

レーティングでいえば、ベスト10の企業はほぼ毎年4.74.9を獲得しています。大企業よりも高い評点ですが、これは従業員数自体が少ないのでレーティングを行うサンプル数も少ないため、良い評価はより高く、悪い評価はより低く出る傾向があるからでしょう。とはいえ、2年連続して、ましてコロナ禍の最中にありながら、ライフ.チャーチが4.9を取り続けるのは、驚きを禁じ得ません。

コロナ禍のような一般の人々が困難な状況に置かれている情況では、宗教が見直されたり、宗教行為というサービスが人々に安心感を与えることはあるでしょう。そこに仕事のやりがいや意義を感じることもあるでしょう。これらは、宗教法人全般に当てはまることでしょうし、宗教法人以外のNPOに広く言えることでしょう。

ライフ.チャーチでは、協会においてタッチレス(接触しない)で礼拝を行うことができるようにしたり、オンラインで礼拝ができるようにするなど、安全性を担保してサービスを提供できるようにすることで、信者(サービスを提供される人々)も従業員(サービスを提供する人々)も安心して活動できるように仕事のやりかたも変えてきているようです。その結果は、従業員だけでなく、その家族も安心できるという評価(コメント)につながっているのではないかと思われます。

 

(2)に続く

 

【注1

大企業については、グラスドア社の以下のサイトに結果が公表されています。

Best Places to Work | Glassdoor

 

【注2

ベインは調査結果が公表されている2009年以来ずっと、インNアウト・バーガーは2015年より6年連続で、ベスト10に入り続けています。

 

【注3

中堅・中小企業については、グラスドア社の以下のサイトをご覧ください。

Best Small and Medium Companies to Work For | Glassdoor

 

作成・編集:人事戦略チーム(2021131日)