働くのに最高の職場(2017年調査)

 

働くのに最高の職場(2017年調査)

 

 ご存知の方も多いと思いますが、今年もまた、グラスドア社より“Best Places to Work Employees’ Choice Award”が発表されました(注1)。

 近年の結果をまとめてご紹介したものが表1です。対象はアメリカ国内の大企業中心です。

 

1:直近5年間のベスト10の動向

 

2014

2015

2016

2017

2018

(今年の発表)

ベイン

グーグル

Airbnb

ベイン

フェイスブック

ツイッター

ベイン

ベイン

フェイスブック

ベイン

リンクトイン

ネスレ・ピュリナ・ペットケア

ガイドワイア

BCG

BCG

イーストマン

F5ネットワークス

ハブスポット

グーグル

インNアウト・

バーガー

フェイスブック

BCG

フェイスブック

ワールドワイド・

テクノロジー

グーグル

ガイドワイア

シェブロン

リンクトイン

ファスト・

テクノロジー

ルルレモン

インタラクティブ・インテリジェンス

HEB

BCG

インNアウト・

バーガー

ハブスポット

グーグル

インNアウト・

バーガー

グーグル

リンクトイン

ワールドワイドテクノロジー

オービッツ・

ワールドワイド

マッキンゼー

ネスレ・ピュリナ・ペットケア

アドビ

セントジュード・チルドレンズ・

リサーチホスピタル

10

ネスレ・ピュリナ・ペットケア

メイヨ―・

クリニック

ズィロウ

パワー・ホーム・リモデリング

アルティメイト・

ソフトウエア

 

この表からは、いくつかのことに気がつきます。

まず、常連ともいうべき、絶えず従業員から高く評価されている企業がいくつもあるということです。今年は、フェイスブックが1位になっていますが、上位5社はいずれも昨年もベスト10に入っている企業です。

業種別では、ITサービス、コンサルティング、ヘルスケア、外食、小売など、幅広く見られます。ただし、製造業、農林水産業・鉱業、建設・不動産、インフラ関連の業種などは、ほぼ見られません。

ランキングの特徴としては、安定してランクインしている企業がある一方で、一気にベスト10入りしたかと思ったら、翌年には姿を消している企業もみられます。そのなかでもハブスポット(注2)はランキングの上下が激しく、今年はベスト10に返り咲いています。

大手企業とはいえ、ハブスポットのように成長中のベンチャー企業は次に紹介する中堅・中小企業と同様の特徴があるのではないかと思われます。それは、事業の成長(時には転換や廃業ということも)と、実際に勤めている社員そのものや職場の環境や風土などの働きやすさの因子との間に、短期間で大きな相違が生じやすいということです。

たとえば、主要な経営幹部(ベンチャーでは創業経営者やその右腕といった人々など)が替われば会社の方針や風土も大きく変わるでしょう。現場の社員の入れ替わりがあっても、周囲への影響の大きさは大企業よりも中堅・中小企業のほうがより大きいでしょう。対象とする顧客、仕事の進め方、業務システム、オフィスの移転や改装など、仕事に何らかの影響を及ぼすであろう物事の変化が、働きやすさにより直接的に影響を及ぼすのは、やはりベンチャーや中小企業でしょう。

 

それでは次に、中堅・中小企業について見てみましょう。(注3

 

2:直近5年間の中堅・中小企業ベスト10の動向

 

2014

2015

2016

2017

2018

(今年の発表)

モトリー・フール

モトリー・フール

マドワイア

グリーンハウス・

ソフトウエア

シルバーライン

スマートベア・

ソフトウエア

ファスト・

エンタープライズ

グランド・

ラウンズ

イルミネート・

エデュケーション

ニューホームスター

トラベルズー

エヴォレント・

ヘルス

クラウド・ロックス

エンテロ

ネクストセンチュリー

コーナーストーンオンディマンド

インタクト・

コーポレーション

インストラクチャー

セイルポイント・

テクノロジーズ

アクセラレーションパートナーズ

ペイコム

チューブモーグル

ウィロー・ツリー

シート・ギーク

ズームビデオコミュニケーションズ

メディアマス

インスタート・

ロジック

ヴェンテラ・

リアルティ

メトロマイル

オプローンズ

サーシダイミックス

クアントキャスト

ヘルス・

カタリスト

クラッシィ

グリント

ファスト・

エンタープライズ

クワーキー

プレゼンス・

ラーニング

アサナ

ライフ.チャーチ

ペイロシティ

スパイス

ワークス

ファスト・

エンタープライズ

センデロ

CBインサイト

10

ロゴス・バイブル・ソフトウエア

フェイスライフ

ディマンドベース

ライブ・ランプ

カーシールド

 

 過去には、モトリー・フールやファスト・エンタープライズのように複数の年度でベスト10にランクインしている、常連のような企業も見られましたが、昨年から今年に掛けては連続してベスト10入りした企業はありません。

 やはり、中堅企業や中小企業のほうが、事業環境の変化や自社の事業モデルの変化などに対応しきる余裕とか余地が小さいのかもしれません。その結果、ベスト10にランクインしている企業が頻繁に入れ替わる状況を生み出しているのではないでしょうか。

 今年の特徴としては、従来多かったITサービス・システム関連の企業だけでなく、ベンチャーキャピタル系の企業(アクセラレーションパートナーズとCBインサイト)や宗教団体(ライフ.チャーチ)といった組織もランクインしている点が挙げられます。

 医療サービス、外食、コンサルティングなど人によるサービスの提供の比重が高いであろう業種業界は、大手企業のベスト10では必ず何社かはランクインしていますが、中小・中堅企業においても同様の傾向がはっきりと出てきているようです。

 こうした業種業界における変化にも、今後、注目していく必要がありそうです。

 

【注1

大企業については、グラスドア社の以下のサイトに結果が公表されています。

https://www.glassdoor.com/Award/Best-Places-to-Work-LST_KQ0,19.htm

 

【注2

ハブスポットを特徴づけるカルチャーコードについては、以前ご紹介したことがあります。ご興味のある方は以下のサイトをご覧ください。

https://www.qms-imo.com/%E6%9B%B8%E7%B1%8D%E3%81%AE%E3%81%94%E7%B4%B9%E4%BB%8B/hubspot/

 

【注3

中堅・中小企業については、グラスドア社の以下のサイトをご覧ください。

https://www.glassdoor.com/Award/Best-Small-and-Medium-Companies-to-Work-For-LST_KQ0,43.htm

 

                                          作成・編集:人事戦略チーム(20171225日)