創業補助金の採択事例にみる創業動向について(8)

 

IT

 

 ITに関するものとしては、まず、ロボットやIoTなど技術開発の動向に即して起業するアイデアがあります。

 

・インテリジェントロボットシステムの開発とその展開(26・静岡)

・高齢者の心配事トイレを簡潔にする人間支援型ロボット「トイレアシスト」の実用化(26・広島)

IoTを活用した農場管理システムの展開(28・大分)

IoT宅配ロッカーを用いた物流宅配システムの構築(29・東京)

1000名の占い師を活かしたチャット占いサービス(27・埼玉)

 

 また、新たなサービスを提供するプラットフォームを開発するものも、IT関連らしいテーマとして採択されています。

 

・中小企業向けに手軽に活用できる安全なクラウドサービスの提供(27・秋田)

・電子請求システムのクラウド開発(26・東京)

・ロシア向けインターネット通販プラットフォーム事業の展開(27・東京)

・最先端科学技術の3D立体映像コンテンツ制作とそのプラットフォーム運用(28・茨城)

 

 もちろん、既存のIT技術やITサービスに一工夫を施したものもあります。

 

・顔をスキャンしてそのデータを基に着せ替えをした3Dフィギュア販売事業(27・岡山)

・高品質かつ短納期を実現する画像処理・PLCソフトウエアのパッケージ開発・販売(28・鹿児島)

WEBで完結、ビザ申請書類作成・代行申請サービス(26・東京)

・飲食店特化型税理士事務所の経理業務自動化サポートの実施(26・東京)

 

 なかには、ITの開発のやりかたに独自のものを展開する起業プランもあります。特に開発する人材に独自性を見出すものが特徴的です。

 

・主婦SE活用によるローコストシステム開発の提供(27・東京)

・高齢ベテランSEと障害者SEによるシステム開発・保守事業(26・福岡)

 

T&R

 

 旅行や不動産に関連するものといえば、典型的には次のように旅行と不動産を通じて地域の活性化を図るものがあります。

 

・地域初の不動産業の創業とニセコインバウンドを取り込む地域活性連動型不動産ビジネス(29・北海道)

・小規模旅館の運営・再生および地域再生ビジネス(28・新潟)

 

 旅行関連の起業では、ターゲットを絞り込んだものが目立ちます。

 

・インターネットを使った訪日中国人観光客むけ旅行情報サービスの提供(27・千葉)

・来日外国人観光客向け簡易クレジット決済サービスの提供事業(27・愛知)

・海外富裕層に特化した九州地域内への集客・長期滞在促進事業(29・福岡)

・富裕層外国人旅行者をメインターゲットとした町屋一棟貸・宿泊施設の展開(28・奈良)

 

 一方、提供するサービスを絞り込むことで起業を目指すアイデアも、旅行関連では見られます。

 

・坊主が案内する京和文化の探訪ツアーの実施(27・京都)

・ディープな岐阜を紹介する少人数制ツアーの実施(28・岐阜)

・出張茶会(外国人観光客の伝統文化体験)事業の実施(26・兵庫)

・モーターパラグライダー2人乗り観光遊覧飛行(26・沖縄)

 

 不動産に関する起業アイデアについていえば、やはり地域活性化を意識して、空き家などの遊休不動産をシェアハウスなどに活用するものが注目されます。

 

・地域商店街と連携したベトナム人留学生向けシェアハウスの展開(26・東京)

・空き家を活用した次世代シェアリング個室ジムのシステム提供(29・広島)

・遊休不動産の一括管理サービスによる空き家再生事業の実施(28・長野)

・滋賀県に特化した高齢者住宅の入居希望者と提供者のマッチング事業(27・滋賀)

・空き家を活用したシングルマザーシェアハウス事業(26・福岡)

 

 以上のように、ITや旅行・不動産に関連した起業では、それぞれの分野でのトレンドを意識したもの、そこに更に一工夫あるものが採択されている傾向にあるように思われます。

 

(9)に続く

         作成・編集:QMS代表 井田修(2017918日)更新