リファレンス・チェックのポイント(2)

 リファレンス・チェックのポイント(2)

  

(1)より続く

 

 一般に、リファレンス・チェックの目的を考えてみると、大きく二つあるように思います。

  

まず、ワークスタイルの確認という点を、第一の目的に挙げることができます。自社のカルチャーに適合しそうか、少なくとも全く無理ということはないか、リファレンス・チェックがその人と組織との相性をみる上での判断材料の一つとなるでしょう。

  この目的でリファレンス・チェックを行う場合、上司にコメントを求めるだけでは目的は達成できません。特に役員や管理職を採用する際には、判断材料が偏ってしまいます。部下とか他部門の同僚など、多面評価に近い発想でリファレンスを求めないと、有用な情報は得られません。

  また、転職を既に複数回、経験している人を採用する場合、直前の組織だけでなく、そのひとつ前の組織にいる(いた)人もリファレンス先として話を聞けるといいでしょう。

  組織が異なれば、同じ人のワークスタイルも違って見えるかもしれません。しかし、組織が異なるのに、違っていない、一貫したワークスタイルが確認できるかもしれません。いずれにせよ、採用する側としては、知っておいて損のない情報と言えます。

  

リファレンス・チェックのもう一つの目的は、そもそもその人がどのように働いているのか、そのことを知っている人が確かに存在している程度の信頼感を形成するために行うものです。

  採用する側から見れば、既に採用した社員がどのようなワークスタイルで現に仕事をしているかは、他の社員にアンケート調査のひとつも行えば、ある程度は判断できるでしょう。外部から新たに採用する人については、本人の認識を聞く以外に、直接、判断する材料はありません。

  そこで、少なくとも、本人のことを知っている人がちゃんと存在し、きちんとしたコメントを提供してくれたという事実をもって、採用する側とされる側の信頼関係を築く上での大きなステップとなります。

  もし、本人以外にその人がどのように働いているのか、知っている人がいないとしたら(そう本人が思っているだけかもしれませんが)、よほど特殊な条件で働いているのでない限り、そもそも仕事をしてきたということが確認できないことになってしまいます。最悪の場合、職務経歴書、さらには履歴書まで遡って、本人の仕事の実績を再度、見直すことが必要となるかもしれません。

  

これらの目的を考えれば、本当は、新卒でも、リファレンス・チェックを実施するのが望ましいプロセスです。

  リファレンス・チェックを行うには、一緒に仕事をしたことがある人から話を聞けないと無意味なので、家族や友人では不適切ですが、ある程度の期間いっしょにアルバイトをやったことがある人やそのときに責任者の立場にあった人であれば、仕事を通じて築かれた信頼関係やワークスタイルなどを確認することができるでしょう。

  もちろん、インターンシップや現に自社でアルバイトをしたことがある人など、実際に自社で仕事をした経験があれば、その際の情況を確認することができます。但し、特にインターンシップではお客さん扱いせずに、他の社員と同様に仕事をする環境にあったかどうかが、そもそもの問題とはなります。この点は自社の採用戦略上の課題であり、採用しようとしている人の課題ではないことを承知の上、対応すべきでしょう。

 

(3)に続く 

 

作成・編集:QMS 代表 井田修(2016425日更新)