· 

ロバート・デュヴァル氏の訃報に接して

ロバート・デュヴァル氏の訃報に接して

 

先週、1960年代から近年まで長く活躍した俳優のロバート・デュヴァル氏が95歳で亡くなったことが報じられました(注1)。死因は明らかにされてはいませんが、自宅で穏やかに息を引き取ったと伝えられています。

60年もの長きにわたって俳優として出演した作品は80本を超えており、その全体をご紹介することはできません。ここでは筆者が個人的に観たことがある作品について簡略に触れるに止めます。

 

「ブリット」(“Bullitt1968年)

MASHマッシュ」(“MASH1970年)

「ゴッドファーザー」(“The Godfather1972年)

「ゴッドファーザー PartⅡ」(“The Godfather PartⅡ”1974年)

「鷲は舞い降りた」(“The Eagle Has Landed1976年)

「ネットワーク」(“Network1976年)

「地獄の黙示録」(“Apocalypse Now1979年)

「ナチュラル」(“The Natural1984年)

「ウォルター少年と、夏の休日」(“Secondhand Lions2003年)

 

「ゴッドファーザー」「ゴッドファーザーPartⅡ」(注2)におけるトム・ヘイゲン役は誰もが認める代表作と言えるでしょう。弁護士でありコルレオーネ・ファミリーのコンシリエリ(相談役)でもあるトム・ヘイゲンそのものです。個人的に特に印象深いのは、「ゴッドファーザー」では映画プロデューサーのジャック・ウォルツを訪ねるシーンです。「ゴッドファーザーPartⅡ」では、マイケル・コルレオーネが上院の特別委員会で証言するシーンです。このシーンの最後の方で、委員長に謝罪を求めて声をあげるところは、いかにも弁護士らしいところです。

それだけに残念なのは、「ゴッドファーザーPartⅢ」に出演しなかったことです。この作品ではファミリーのドンであるマイケル・コルレオーネ付きの弁護士はいるものの、もはやコンシリエリ(相談役)という重要な位置づけではなくなっているのは、時代が変わっていること以上に、一説にはギャラへの不満から氏の出演が叶わなかったために、ストーリーやキャラクターを変えざるを得なかったためではないかと推測されます。

トム・ヘイゲンと同じくらいインパクトがあった役が、「地獄の黙示録」(注3)で演じたビル・キルゴア中佐です。朝のナパームの匂いを好み、サーフィン愛好者でもある航空騎兵連隊を率いる姿は、西部劇の主人公がベトナム戦争に入り込んでしまったようです。ワーグナーのワルキューレの騎行を大音量で流しながらロケット弾を撃ち込む攻撃ヘリコプターの姿は、騎馬隊がアパッチ砦に突っ込んでいくようにも見えます。

「ウォルター少年と、夏の休日」(注4)では、「鷲は舞い降りた」で共演していたマイケル・ケインとともに、ぶっ飛んだ老人を演じています。一見、暴走気味でいるものの、人生を楽しむ姿を子供に見せる老人たちの姿は、改めて見てみると氏自身の姿とも重なり合うように感じられます。

「ブリット」、「MASHマッシュ」、「鷲は舞い降りた」、「ネットワーク」、「ナチュラル」については、重要な脇役として作品の質を高めていることは間違いないでしょう。他の俳優が演じていたら、もしかすると作品の評価が大きく損なわれていたかもしれません。

他の作品を含めて氏が演じた代表的な役について、とりまとめて紹介しているものもあります(注5)。なかでも、「テンダー・マーシー」(“Tender Mercies1983年、日本未公開)は見ることができなくて残念な作品です。この作品でアカデミー賞主演男優賞を受賞するなど、メインのキャラクターを演じても実績のある俳優で、しかも重要な脇役もしっかりと演じるところに映画作品の価値を高めることができる俳優でした。

私生活では4度の結婚、「ゴッドファーザーPartⅢ」の出演拒否など、自ら信じるところに忠実に生きた俳優でした。演じた役以上に幅の広い生き方をしていたのかもしれません。

 

【注1

以下のように報じられています。

米オスカー俳優ロバート・デュバルさん死去、95歳 「ゴッドファーザー」「地獄の黙示録」などに出演(1/2) - CNN.co.jp

米俳優ロバート・デュヴァルさん、95歳で死去 映画「ゴッドファーザー」などで活躍 - BBCニュース

 

 

【注2

 

 

【注3

 

 

【注4

 

 

【注5

 

  作成・編集:QMS代表 井田修(2026223日)