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結果を出す方程式(1)

結果を出す方程式(1

 

 個人が組織で仕事の結果を出すには、いくつかの条件があります。それを次のように3つの要素で定式化して考えてみることができます。

 

結果=マインドセット×能力・知識×環境

 

仕事で何らかの結果を生み出そうと思ったら、まず、結果を出そうとする本人のマインドセットが必要で、そこに仕事を進める上で必要なスキルや知識があった上で、それらを活用するコンピテンシー(能力)も不可欠です。それらが揃うとともに、本人を取り巻く周囲の環境条件も重要です。これらの3要素のいずれかが欠けても満足すべき結果は生まれません。

言い換えれば、もし、これらの要素のうち、ひとつでもゼロ=全くない=という要素があるとすれば、結果が出るはずはありません。現実には、ゼロという人はいないはずですが、マイナスという人はいるかもしれません。能力・知識や環境という要素はマイナスということは想定しがたいのですが、マインドセットはマイナスということはあり得ます。例えば、動機は何であれ、会社や組織の活動を妨害しようとしたり、損害を与えようとしたりする人は、時には現れることがあります。

仕事で結果を出す方程式が、それぞれの要素の足し算ではなく掛け算であるのは、ゼロやマイナスの効果が結果を決定的に左右するからです。

 

ここで言う「マインドセット」とは、本人に関する基本的な条件です。具体的に言えば、やる気や意欲やモチベーションなど短期的に変動するものもあれば、仕事に取り組む姿勢とか学び続けるメンタリティなどのように長期的にある程度変わらないものもあります。また、習慣化された思考や行動の様式もあれば、その時その場での感情や情動もあります。なお、マインドセットの基盤となるものに本人の肉体的・物理的条件もありますが、これは健康な状態であるとして話を進めたいと思います。

仕事で結果を出すには、そもそも論として、「結果」についての正しい理解、今自分に求められている出すべき結果とは何か、ということをどのように理解しているかどうかも、マインドセットの重要な部分を占めます。この点は、極めて重視すべきポイントです。

次に「能力・知識」とは、業務に直結するスキルや知識、経験した事象およびそこから得られた知見、その人のもつコンピテンシーやメタ能力(新たな能力を身につける力とかこれまでのやりかたを棄却する能力など)などをいいます。

公的な資格の取得や認証などで第三者が担保するものもあれば、専門書やトレーニングから移転されるものもあります。取得した学位や学歴、これまで経験してきた職務履歴などから、当然身につけているはずの能力・知識もあれば、これから取り組む仕事に必要であっても、まだ身についていない能力・知識もあるでしょう。

第三の「環境」とは、個人の意思や力では短期的に変えることができないもので、その人を取り巻く組織や事業体、その組織を取り巻く事業環境などです。

戦略論でいうところの外部環境は基より、組織のもつ経営資源(プロダクトやサービスの質・価格などの競争力など)、現在所属している組織のありかた、組織分掌・業務体制及び業務システム、組織のもつカルチャーや価値観なども含まれます。組織構造や職務権限といったハードなもの、使うべきITシステムなどの仕組みや仕事の手順、職場の人間関係のようなソフトなものなど、様々なものが環境を構成します。

 

 このコラムでは次回以降、それぞれの要素について考察を進めていこうと思います。

 

(2)に続く 

 

作成・編集:人事戦略チーム(2024116日更新)