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2023年の補助金・助成金を申請するには

2023年の補助金・助成金を申請するには

 

例年のことですが、補助金・助成金を活用するには、できるだけ早い段階で自社の経営課題を明確かつ具体的に認識し、その解決に当たってどのような補助金・助成金が活用可能なのか、検討しておく必要があります。

2023年度の予算案はまだ国会で審議されていませんが、補助金・助成金は2022年度もさまざまなものがあり、次年度に引き継がれるものや改善されるものもあるはずです。そこで、いまのうちから2022年度の補助金・助成金を参考にしながら、2023年度の補助金・助成金の活用に向けて検討を始めても早すぎることはありません。

 

今年はコロナ禍も3年が過ぎ、いよいよポストコロナ時代となりそうです。企業が抱える経営課題も当然のことながら、コロナ対策から次の課題へと移り変わっていきます。昨年始まったウクライナ紛争は、エネルギーや資源の価格高騰から経済全体をインフレ基調の方向に一変させたように、今年も予想外のイベントから経営へのインパクトが及ぶこともあるものと覚悟した上で、ポストコロナの経営課題にしっかりと目を向ける必要があります。

そうした経営課題について考えてみると、一般論としては、次のような課題が広く多くの企業に当てはまるでしょう。特に中小企業やベンチャーについては喫緊の課題と言うべきものが並びます。

 

  ポストコロナ時代を生き抜くことが可能な事業の立ち上げ・変革(インフレや為替相場の急な変動への柔軟な対応などを含む)

  AIDXなど情報技術を採り入れた経営改革

  (上記のような)経営改革を主導できる人材の確保・育成・登用

 

 そして、コロナ禍以前からの課題である「次世代経営人材の確保・育成・登用」も、多くの企業で待ったなしのところまで情況が切迫していると言ってもいいでしょう。

 

さて、①「ポストコロナ時代を生き抜くことが可能な事業の立ち上げ・変革」という課題については、経済産業省所管の「事業再構築助成金」が最適なものです。既に公表されている通り、第9回の公募が今月中に開始され3月に締め切られる予定です。その後、第10回の公募が行われる見通しですから、今すぐに申請の準備に入るべきでしょう。

東京都で事業を営んでいる企業であれば、「創業助成事業」「新製品・新技術開発助成事業」「製品開発着手支援助成事業」「TOKYO地域資源等活用推進事業」「TOKYO戦略的イノベーション促進事業」「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」といった2022年度に行われた補助金・助成金制度を参考に、今年のテーマやスケジュールなどを押さえておいて、春先から申請に向けて行動していきたいところです。

なお、インフレや為替相場の急な変動への柔軟な対応などについては、個別に補助金・助成金が設けられているものもあります。一例を挙げれば、経済産業省所管の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」や東京都の「原油価格高騰等対策支援事業」などがあります。

 次に、②「AIDXなど情報技術を採り入れた経営改革」ですが、これは①の課題を解決する際にも不可避なテーマですし、当面は現行の事業を推進することに注力する企業においても、顧客経験を高めて自社やブランドへの満足度を向上させるためにも重要な課題でしょう。

これには「IT導入補助金」の検討から始めます。補助金の金額としては大きいとは言い難いところもありますが、一気に多大なIT投資をするよりも、段階的・継続的にDXを進めるには適しているのではないでしょうか。また、ITサービスやDXをサポートする製品やサービスを提供する企業にとっては、「IT導入補助金」においてIT導入支援事業者として登録しておくことは営業政策上も重要と思われます。

東京都中小企業振興公社では、「中小企業デジタルツール導入促進支援事業」「生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業」「サイバーセキュリティ対策促進助成事業」といった補助金・助成金事業があります。それぞれの地域でも同様のものがあるかもしれません。各自治体のHPを一度はチェックしてみるほうがよいでしょう。

ところで、③「経営改革を主導できる人材の確保・育成・登用」と「次世代経営人材の確保・育成・登用」については、課題に直結する補助金・助成金は本日時点では見当たりません。従業員や一般の方々を対象とし個人のスキルアップを目指す補助金・助成金は、厚生労働省や自治体(東京都労働局など)などで数多く運営されていますが、これらの課題とは別次元のテーマを扱うものに過ぎません。

「経営改革を主導できる人材の確保・育成・登用」と「次世代経営人材の確保・育成・登用」は、実は①や②の課題を解決しようとするプロセスを通じて取り組むことが可能であったり、経済産業省所管の「事業承継・引き継ぎ補助金」を活用して事業の承継や引き継ぎを行う中で経営改革や次世代経営者の確保を進めることが可能となるものです。

同様のものは、各自治体でも運用しているようで、例えば東京都では「事業承継支援助成金」があります。また、商店街における事業承継を狙いとして、「商店街起業・承継支援事業」や「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」というものもあります。

こうした事業承継や次世代リーダー発掘を目指すものは、MAなどの外部専門家の活用が求められることが多いので、補助金・助成金の公募が始まる相当前から具体的な事項を検討しておかないと、公募期間に間に合わない場合も出てきます。事前にしっかりとやるべきことを詰めておいて、公募が始まる頃には書類を物理的に作成するだけという程度に事前の準備をしておきたいものです。

 

HPでは「補助金・助成金申請サポート」のサービスで、補助金・助成金の募集が正式に始まったものから順次、情報を更新していく予定です。一般的な留意事項なども併せてご一読ください。

 

作成・編集:経営支援チーム(202313日更新)