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働くのに最高の職場2022<2021年調査>(2)

働くのに最高の職場20222021年調査>(2

 

次に、評価の高いベスト10の企業について、直近5年の変遷を見てみましょう。はじめに大企業についてです。

 

3:大手企業

       

調査対象年

2021

2020

2019

2018

2017

1

エヌヴィディア

ベイン

ハブスポット

ベイン

メタ(フェイスブック)

2

ハブスポット

エヌヴィディア

ベイン

ズーム

ベイン

3

ベイン

In-N-Out バーガー

ドキュサイン

In-N-Out バーガー

BCG

4

eXpリアルティ

ハブスポット

In-N-Out バーガー

プロコア・テクノロジーズ

In-N-Out バーガー

5

ボックス

マッキンゼー

サモンズ金融グループ

BCG

グーグル

6

BCG

グーグル

ローレンスリバモア研究所

リンクトイン

ルルレモン

7

グーグル

デルタ航空

インテュイティブ

メタ(フェイスブック)

ハブスポット

8

退役者住宅ローン

ルルレモン

UKG

グーグル

ワールドワイド・テクノロジー

9

ルルレモン

マイクロソフト

VIPキッド

ルルレモン

セント・ジュード小児病院

10

セールスフォース

HEB

サウスウエスト航空

サウスウエスト航空

UKG

           

 この表からは、ベスト10入りしている常連の企業(ハブスポット、ベイン、グーグル、ルルレモンなど)のなかで、今回はIn-N-Out バーガーがベスト10に入りませんでした。結果は39位で大きく順位を落としていますが、スコア(評点)は4.4であって前年よりも0.1点下がっただけです。

 大企業の場合、4.5以上であればベスト10に確実にランクインできそうで、それ以上高いスコアを獲得することはあまりない半面、(従業員が多いせいか)スコア自体は安定している企業が多く、ベスト10やベスト100に入っていなくても大きな問題とは言えないケースが多いでしょう。

 

 次に中堅・中小企業のベスト10について5年間の変遷です。

 

4:中堅・中小企業

調査対象年

2021

2020

2019

2018

2017

1

クライアント・ブースト

ライフ.教会

ライフ.教会

ヒープ

シルバーライン

2

グローバー・ゲーミング

クルー・カーウォッシュ

クロスカントリー・コンサルティング

ホライゾン・イノベーション

ニューホーム・スター

3

6センス

アイク

15ファイブ

シルバーライン

ネクスト・センチュリー

4

ライフオミック

パリヴェダ

IGNW

マーケティング360

アクセラレーション・パートナーズ

5

グリン

マル―フ・カンパニーズ

バンブーHR

デジタル・プロスペクターズ

ズーム

6

パカソ

ハーネス

ハイスポット

ゲットUワイアード

オプファイ

7

セールス・エンパワーメント・グループ

MLM ホーム・インプルーブメント

ノウビー4

ウィーブ

グリント

8

クラヴィヨ

レンディオ

セールスロフト

マル―フ・カンパニーズ

ライフ.教会

9

エトス・グループ

ジョボット

シーク・キャピタル

ハイスポット

CBインサイト

10

サウスカロライナ連邦信用組合

ロウアー

ソートスポット

ピーボディ・プロパティーズ

カーシールド

           

 こちらは、順位の変動が大きい上に、スコアも上下に激しくこちらは、順位の変動が大きい上に、スコアも上下に激しく動くことが珍しくありません。ベスト10に入るところは4.5以上(ベスト3では4.9となることも)が常態化していますが、2年連続して高いスコアを取ってランクインし続ける企業は滅多に現われません。

 もちろん、ズーム(中堅・中小企業のベスト10から大企業のベスト10に変わったのがコロナ禍前の2018年調査)やライフ.教会のように、複数年にわたってベスト10に位置付けられる組織もありますが、大半は1年でリストから消えていきます。

大企業に比べて中堅・中小企業の方が、従業員1人がもつウエイトが大きいため、より少ない従業員の動向がスコアを左右します。まして、“The Great Resignation”(大退職時代)にあって従業員を引き付けるには、いかに迅速に従業員のニーズに合った人事施策を実現できるかどうかが問われることとなります。コロナ禍前には多くの従業員に支持されていたことがコロナ禍を経て支持が低下したのに即応して、次の打ち手を繰り出すのは、やはり規模が小さい組織には難しいかもしれません。

その打ち手にしても、賃金を高くするとかベネフィット(福利厚生)を手厚くするということ以上に、リモートワークのような通勤しない働き方や休暇取得(=家族といっしょに過ごす時間を増大させるワークスタイル)を積極的に推奨したり、仕事の意味付けを見直して金儲けよりも優先すべき価値の追求(地球環境問題や貧困などの社会的な課題や企業倫理上の問題)に資する行動を促したりすることが求められるとすれば、大企業が動くよりも早く動く必要があります。

それができた中堅・中小企業が一気に人事施策を転換し、従業員を引き付けることができたのではないでしょうか。

 

作成・編集:人事戦略チーム(202221日)