2021年度の補助金・助成金の応募に向けて
年が明けると各種の補助金・助成金について情報が出てきています。今年は、従来から実施されているものに加えて、昨年来のコロナ禍に対応したものも制度化され次第、応募が始まると予想されます。コロナ禍の影響を直接蒙った事業者の方はもちろん、さほど大きな影響を受けたわけではない事業者の方も、国や自治体及び商工会議所や金融機関などから提供される補助金・助成金に関する情報を収集しておいて損はありません。
さて、そうしたもののなかで注目すべきものがふたつあります。「産業雇用安定助成金(仮称)」(注1)と「事業再構築助成金」(注2)です。
厚生労働省所管の「産業雇用安定助成金(仮称)」というのは、コロナ禍のために事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員を他社に在籍出向させる際に、元の事業主及び出向を受け入れる側の事業主に対して、その運営経費や初期費用を助成するものです。対象として予定されているのは、賃金・教育訓練費・労務管理費・就業規則や出向契約の整備に要する費用・出向者の受け入れに必要な機器や備品の費用などです。
この助成金は、あくまでもコロナ禍による事業縮小に伴う在籍出向についてのものなので、一般的な事業縮小に伴う転籍出向(いわゆるリストラの一環として行われるもの)は対象外です。こうした転籍出向の場合や、コロナ禍をきっかけとする事業縮小であっても在籍出向以外の方法で従業員を他社に転籍させる場合には、従来からある「雇用調整助成金」「労働移動支援助成金」「中途採用等支援助成金」「人材開発支援助成金」などを活用できる可能性があります。
次に、経済産業省所管の「事業再構築助成金」は、新分野展開や業態転換などを通じて規模の拡大を目指す中小企業などに相応の助成を行うものです。具体的には、コロナ以前の任意の3ヶ月の売上高が10%以上減少しており、事業計画を認定支援機関や金融機関とともに策定し事業再構築に取り組む中小企業等が、補助事業年度終了後3~5年で付加価値額を所定の伸び率で成長することを目指して事業の再構築などに挑戦するのに対して、最大で1億円の助成を行う予定です。
小売業や製造業とともに飲食業(注3)の利用も想定されており、コロナ禍というピンチを新たなビジネスを起こすチャンスに変える事業者を資金面でバックアップしようとする姿勢が見て取れるものです。
コロナ禍に対応するものとしては他にもあります。たとえば、東京都「テレワーク定着促進助成金」(注4)は、もともとはコロナ禍とは関係なく働き方改革の一環としてテレワークの導入・定着を促進しようとするものですが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策としてテレワークの拡大・活用をより一層図るために、テレワークに必要な機器の導入費用の一部を補填することで事業者を助成するものです。12月中に締め切る予定だったところ、約2ヶ月延長して現在も対応しています。
このように、コロナ禍に対応した補助金・助成金も、国が行うものもあれば自治体が行うものもあります。予算審議などを経てこれから詳細が決定されるものも少なくありません。今後3ヶ月ほどは特に注意が必要です。
なお、当サイトでは、補助金・助成金の募集が正式に始まったものから順次、情報を更新していく予定です。一般的な留意事項などについては、当HPにおいてこれまでご紹介してきた関連コラムなどもご一読ください。
作成・編集:経営支援チーム(2021年1月4日更新)
【注1】
「産業雇用安定助成金(仮称)」について詳しくは以下のファイルをご覧ください。
【注2】
「事業再構築助成金」について詳しくは以下のサイトをご覧ください。
事業再構築促進事業 【随時更新・補助金】 | 経済産業省 中小企業庁 (mirasapo-plus.go.jp)
【注3】
飲食業の助成対象となるものとして、レストランからオンライン受注によるテイクアウト専門店への転換が例示されています。
【注4】
「テレワーク定着促進助成金」について詳しくは以下のサイトをご覧ください。
テレワーク定着促進助成金 | 東京しごと財団 雇用環境整備課 (shigotozaidan.or.jp)