平成29年度の補助金・助成金の動き

 

平成29年度の補助金・助成金の動き

 

新年度になり、補助金や助成金の制度も新しいものや改定されたものが出始めました。ここでは、そのなかで注目すべきものをいくつかご紹介します。

 

そのひとつとして「人事評価改善等助成金」(厚生労働省)があります。

この助成金は、名称の通り、人事評価制度及び賃金制度などを整備しようとする中小企業に対して、一定の要件を満たすものに50万円を助成するものです。さらに、生産性向上の要件や離職率低下の要件などを満たすことができれば、80万円が追加で助成されます。

中小企業やベンチャー企業の現実を考えると、人事や賃金について制度的な対応を取ることは人材不足などもあって容易ではないと思います。一方、採用や離職防止などを真剣に考えている企業も多く、こうした助成金も活用しながら人事制度を整備していくことをお勧めしたいとところです。

 

起業に関する補助金・助成金というと、名称が変更になった「創業・事業承継補助金」(中小企業庁)や「創業助成事業」補助金(東京都中小企業振興公社)といったところが有名です。

そうしたなか、昨年度よりスタートした「生涯現役起業支援助成金」(厚生労働省)というものがあります。これは、40歳以上で起業される方を対象とするものです。

同省のHPによると、「中高年齢者( 40 歳以上)の方が、起業によって自らの就業機会の創出を図るとともに、 事業運営のために必要となる従業員(中高年齢者等)の雇入れを行う際に要した、 雇用創出措置(募集・採用や教育訓練の実施)にかかる費用の一部を助成」する制度です。起業した方の年齢と新たに雇用した人の年齢と人数に応じて、200万円(助成率3分の2)または150万円(助成率2分の1)までの助成を受けることができます。創業したばかりで、人材の採用に迫られているベンチャー企業にとって、無視できない金額でしょう。

 

同省関連では「職場意識改善助成金(職場環境改善コース)」というものもあります。

これは、労働時間等の設定の改善により、所定外労働(いわゆる残業)時間の削減や年次有給休暇の取得促進を図る中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成するものです。ここで「労働時間等の設定の改善」というのは、「各事業場における労働時間、年次有給休暇などに関する事項についての規定を、労働者の生活と健康に配慮するとともに多様な働き方に対応して、より良いものとしていくことをいいます」となっており、さまざまな施策や仕組みなどを実施することで、総実労働時間の短縮を実現することが要請されています。具体的には、以下に掲げるもののうち、一つ以上を実施することが求められています。

 

○労務管理担当者に対する研修

○労働者に対する研修、周知・啓発

○外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング

○就業規則・労使協定等の作成・変更(計画的付与制度の導入など)

○労務管理用ソフトウェアの導入・更新

○労務管理用機器の導入・更新

○デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新

○テレワーク用通信機器の導入・更新

○労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新 

 (小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)

 ※1 原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。

※2 「労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新」については、成果目標を2つとも達成した場合のみ、支給対象となります。

 

 この助成金制度では、年次有給休暇の取得促進と所定外労働(いわゆる残業)時間の削減について、成果目標として達成することが求められている点に注意が必要です。

 

このほかにも、現在募集中のものとしては「IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)」があります。こちらは5月末までに登録申請を行い、6月末までに交付申請を行うものです。

この補助金制度で補助事業を行おうとする一般企業はインターネットから登録申請をするだけで、その後の申請業務(交付申請や完了報告など)はIT支援事業者(導入しようとしているITサービスを提供する外部の事業者)が代行する仕組みとなっています。ITを活用して業務の生産性を向上させえようと考えている中小企業にとって、使いやすい制度と言えそうです。

また、6月には「創業・事業承継補助金」(中小企業庁)の募集が予定されるなど、今後も活用を考えたい補助金・助成金が出てきます。関心のある方は、所管省庁のHPをチェックするなどしてみてください。

 

 

作成・編集:経営支援チーム(2017414日更新)