働くのに最高の職場

 

働くのに最高の職場

 

 ご存知の方も多いと思いますが、今年もまた、グラスドア社より“Best Places to Work Employees’ Choice Award”が発表されました(注1)。

 近年の結果をまとめてご紹介したものが表1です。対象はアメリカ国内の大企業中心です。

 

1:直近5年間のベスト10の動向

 

2013

2014

2015

2016

2017

フェイスブック

ベイン

グーグル

Airbnb

ベイン

マッキンゼー

ツイッター

ベイン

ベイン

フェイスブック

リバーベッド・

テクノロジー

リンクトイン

ネスレ・ピュリナ・ペットケア

ガイドワイア

BCG

ベイン

イーストマン

F5ネットワークス

ハブスポット

グーグル

MDアンダーソン・キャンサー・

センター

フェイスブック

BCG

フェイスブック

ワールドワイド・

テクノロジー

グーグル

ガイドワイア

シェブロン

リンクトイン

ファスト・

テクノロジー

エデルマン

インタラクティブ・インテリジェンス

HEB

BCG

インNアウト・

バーガー

ナショナル・

インスツルメンツ

グーグル

インNアウト・

バーガー

グーグル

リンクトイン

インNアウト・

バーガー

オービッツ・

ワールドワイド

マッキンゼー

ネスレ・ピュリナ・ペットケア

アドビ

10

BCG

ネスレ・ピュリナ・ペットケア

メイヨ―・

クリニック

ズィロウ

パワー・ホーム・リモデリング

 

この表からは、いくつかのことに気がつきます。

まず、常連ともいうべき、絶えず従業員から高く評価されている企業がいくつもあるということです。今年1位になったベイン&カンパニー(表1ではベインと表記)をはじめ、フェイスブック、グーグルBCG(ボストン・コンサルティング・グループ)、インNアウト・バーガー、リンクトイン、ネスレ・ピュリナ・ペットケアなどが、そうした企業の代表的存在です。

業種を見てみると、ITサービス、コンサルティング、ヘルスケアなどで、このリストの多くを占めていることがわかります。

その一方で、一気にベスト10入りしたかと思ったら、翌年には姿を消している企業もみられます。特に昨年上位にランクインしたAirbnb、ガイドワイア、ハブスポットのうち、今年はAirbnb35位に留まってはいますが、他の2社はリスト(50位まで)圏外となっています。

ちなみに、この3社はいずれもITを活用して新しいサービスを提供する、創業して10年前後の企業です。あるところまでは、事業がブレイクし、マネジメントもうまく回っていて、一気にベスト10入りをしたのではないかと推測できます。

今は、その見直しの時期に入っているのかもしれません。たとえば、Airbnbはこれまでの民泊サイトの運営から、旅行を通じて得られる体験を紹介しマッチングさせるサイトへとサービスを展開中です。こうした事業の新たな展開は、同時に組織運営や人材戦略にも大きく影響しますし、そうした変化のなかで働いている従業員にとって、事業環境の変化が従業員満足度を向上させるものばかりではないことも十分に予想できます。

こういう意味での変化が常態化しており、個々の従業員も組織全体も慣れているような企業が、安定してこのリストにランクインし続けるのかもしれません。

 

次に、中堅・中小企業について見てみましょう。(注2

 

2:直近4年間の中堅・中小企業ベスト10の動向

 

2014

2015

2016

2017

モトリー・フール

モトリー・フール

マドワイア

グリーンハウス・

ソフトウエア

スマートベア・

ソフトウエア

ファスト・

エンタープライズ

グランド・

ラウンズ

イルミネート・

エデュケーション

トラベルズ―

エヴォレント・

ヘルス

クラウド・ロックス

エンテロ

コーナーストーン・オンディマンド

インタクト・

コーポレーション

インストラクチャー

セイルポイント・

テクノロジーズ

ペイコム

チューブモーグル

ウィロー・ツリー

シート・ギーク

メディアマス

インスタート・

ロジック

ヴェンテラ・

リアルティ

メトロマイル

サーシダイミックス

クアント・キャスト

ヘルス・カタリスト

クラッシィ

ファスト・

エンタープライズ

クワーキー

プレゼンス・

ラーニング

アサナ

ペイロシティ

スパイスワークス

ファスト・

エンタープライズ

センデロ

10

ロゴス・バイブル・ソフトウエア

フェイスライフ

ディマンドベース

ライブ・ランプ

 

 こちらでも、モトリー・フールやファスト・エンタープライズのように複数の年度でベスト10にランクインしている、常連のような企業もありますが、多くはランクインしても続かず、ベスト10のメンバーの入れ替わりが激しいように見えます。

 中堅企業や中小企業のほうが、事業環境の変化や自社の事業モデルの変化などに対応しきる余裕とか余地が小さいのかもしれません。その結果、ベスト10にランクインしている企業が頻繁に入れ替わる状況を生み出しているのではないでしょうか。

 

 さて、このランキングをご紹介したのは、ある種の「活用する価値」があるからです。

たとえば、こうしたランキングの情報からベンチマークすべきポイントやマネジメントのありかたなどを研究し、業種・企業規模や製品・サービスの類似性などから自社のモデルとなる企業を選んで、より詳しい情報を収集するといった活用法がありそうです。

毎年、この時期に従業員に高く評価される職場であるかどうか定期的に見直しながら、このランキングやそこで紹介されている各社の従業員のコメントなどを読んで、自社の改善していくべきポイントを考えていくのが、多分、組織や人材のマネジメントに長けている企業なのでしょう。

労働時間が長いとか、パワハラやセクハラが起こっているといったレベルで、組織や人材のマネジメントの問題解決に汲々とするのではなく、あるべき姿をここで紹介されている企業から採り入れるといったところから見直しをスタートしたいものです。

 

【注1

大企業については、グラスドア社の以下のサイトに結果が公表されています。

https://www.glassdoor.com/Award/Best-Places-to-Work-LST_KQ0,19.htm

 

【注2

中堅・中小企業については、2014年よりランキングが発表されるようになりました。グラスドア社の以下のサイトをご覧ください。

https://www.glassdoor.com/Award/Best-Small-and-Medium-Companies-to-Work-For-LST_KQ0,43.htm

 

【注3

Airbnbの職場環境については、たとえば日経ビジネスにレポートがあります。以下の記事を参照してください。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/120900371/?ST=editor

 

作成・編集:人事戦略チーム(20161213日)