HubSpot Culture Code : Creating A Lovable Company (2)

 

(2)ミッションと結果~長期的な視点をもって~

 

ハブスポットの7つのカルチャー・コードの第1は、「使命(ミッション)と結果(メトリクス)に偏執的なほどにこだわる」というものです。

ハブスポットのミッションとは、組織が成長するのを支援するというものです。顧客を引き付け、ハブスポットに愛着をもち、喜びをもってもらうように顧客を変身させていくのが、ミッションです(HCC-20)

ハブスポットは、より使いやすいマーケティング・ツールを顧客に提供するだけではありません。ハブスポットのサービスを提供された顧客がビジネスにおいて自社の顧客を獲得する方法を変えていくことで、その顧客が成長していくことをミッションとするのです。

その使命(ミッション)をもって事業に取り組むハブスポットですが、ミッションの実現にこだわるのは、他の企業でも同様でしょう。違いは、ミッションと同時に結果にも強くこだわる点です。

 

使命(ミッション)に対するコミットメントでもって、多くの顧客から愛着を獲得することが容易になる。

結果(メトリクス)に対するコミットメントでもって、ミッションを実現できるようにより多くの経営資源を獲得することが容易になる。(HCC-23

 

ところで、“Client first, money follows”という言葉をご存知の方も多いと思います。顧客を十分に満足させることができれば、お金(収益や利益)は後から付いてくる(ので顧客の課題は何かを考え、それを解決することだけを考えればよい)という意味をもちます。金(儲け)のことより、まずは顧客の満足度を向上させるにはどうしたらよいか、その点に注意とエネルギーを集中して仕事に取り組みなさい、といった含意をもちます。いわゆるファーム型の組織(法律事務所、監査法人、コンサルティング・ファーム、PR会社など)に当てはまる言葉であり、経験則でしょう。

ハブスポットはインバウンド・マーケティング&セールスのソフトウエア(プラットフォーム)の開発・販売を事業とするITサービスの会社です。顧客の成長を支援するようにサービスを提供するというミッションを実現することは当然ですが、それだけではハブスポット自身の組織的な成長を実現できるわけではありません。

自らの組織的な成長のために経営資源(資金や人材など)を同時に獲得していかなくてはなりません。ミッションと結果を同時に実現することに非常に強くこだわっていなければ、結局のところ、どちらも実現できないのではないか、と強く危惧していることが窺われる表現です。

 

この第1のカルチャー・コードは、第2のカルチャー・コードである「長期的な視点をもって顧客のために課題を解決する(英語の頭文字をとってSFTCと略されています)」ということ(HCC-28)にも直結するものです。

顧客の喜びを実現すると同時に顧客のビジネスを成功させるためにこそ、自社(ハブスポット)の長期的な存続が不可欠です。タダでサービスを提供したからといって、そのサービスを提供した会社が倒産してしまっては、顧客が喜ぶことはないでしょう。ゆえに、結果(業績)が重要ということです。

顧客のために課題を解決するに顧客にインバウンド・マーケティングのシステムや方法(注3)を提供して、顧客の成長を実現する会社がハブスポットです。したがって、金が後から付いてくるというよりも、適正な利益を得てサービスを提供し続けることが、結局はハブスポットだけでなく顧客にとっても利益となるわけです。

2のカルチャー・コードにいう「長期的な視点をもって」というのは、顧客が直面している(マーケティング上の)課題を解決するだけでなく、それを継続して行うことができるようにサービスを提供していくのが、ハブスポット流の「顧客のために課題を解決する(SFTC)」ことにほかなりません。

 

【注3

ハブスポットの主唱するインバウンド・マーケティングについては、以下の

スライドに概要が紹介されています。

http://www.slideshare.net/HubSpot/what-is-inbound-marketing-29665969

より詳しいものは、以下のスライドを参照してください。

http://www.slideshare.net/HubSpot/training-presentation-teach-your-organization-all-about-inbound-marketing

 

 

文章作成:QMS代表 井田修(20161031日更新)