起業家の夏休み

起業家の夏休み

 

 8月になり、夏休みを計画したり、すでに取ったりした方も多いでしょう。夏季休暇の効用については、心や体のリフレッシュ、日頃できないことへのチャレンジ、新たなインプットの機会などが挙げられています(注1)。起業家の方々も、年末年始と夏休みは取るというのが、一般的であるようです。

そこで、最近お会いした方々に今年の夏休みの予定を尋ねてみました。

 

「例年通り、家族とともに実家へ帰省します。」

「実家から孫の顔を見にくる両親といっしょに、自宅で過ごします。」

「ふだん一緒にいる時間が取れない子供たちと知人の家族といっしょに、自宅で模擬キャンプをやります。」

 

 旅行を兼ねて実家へ帰省するという伝統的な回答もありました。また、実家からご両親が尋ねてこられる方もいれば、小学生以下のお子さんがいる場合は、なかなか遊んだりする機会が少ないためか、いっしょに過ごすことを目的に休暇を取る方もいます。こうした“家族と一緒に”というのが3分の1程度です。

 

「友人の別荘で静養します。その間は情報断食をする予定です。」

「知人の経営しているリゾートホテルに泊まって、キャニオニングをやってみたいですね。」

「地方の音楽イベント(フェス)に参加します。仕事では出会えない人たちと知り合いになれて、楽しいですよ。」

 

 起業家ならではの特徴といいますか、一般に友人・知人などの人脈が豊富なようで、その関係からリゾート地などに行って休養したり、趣味やレジャーを楽しんだりという人もいるようです。

 日常が多忙なためか、情報断食をして心と体をリフレッシュしたり、趣味やレジャーに集中して仕事のことは一旦は忘れる、そういった一種のリセットを図る狙いもあるようです。

 

「積読状態の本を読みます。こういうときでもないと、落ち着いて読めないので。手始めに“TED TALKS”から読むつもりです。」

「厚い本を読みます。まだ決めていませんが、哲学書か小説ですね。いつもとは違う、頭の別のところを使いたいんです。」

「ウルトラマンが放送されて50周年ですからね。シリーズ全部とはいきませんが、買ったままのブルーレイ・ボックスを観て、イベントにも参加するつもりです。」

DVDで映画を観ます。角川映画の40周年ですよ。金田一耕助シリーズに、薬師丸ひろ子、原田知世、松田優作。もう一度、観たいものばかりです。」

 

 本やDVDなどを一気に読んだり観たりするというのも、まとまった休みが取れる時の過ごし方として定番でしょう。

この際に、意識的に仕事と関係のないものを読む方が多いのではないでしょうか。“カラマーゾフの兄弟”や“戦争と平和”のようなロシア文学に挑戦するとか、“人間喜劇”や“失われた時を求めて”のようなフランス文学に触れてみるとか、今年は夏目漱石の没後100年に当たりますから、改めて漱石の作品を読み返してみるといった方もいるでしょう。

 

「ちょっと遅めに休みを取って、人間ドックに行きます。ここ数年、そういう習慣になっています。」

 

 確かに、健康管理のために時間を使うことは、ついつい後回しになりがちです。社員の健康診断は定期的に行っていても、自分のこととなると、放りっぱなしという方が多いのではないでしょうか。短期間であっても人間ドックをするとなれば、情報断食も同時にできるかもしれません。

 

「特に予定はありません。自宅でゆっくり過ごしますが、今年はオリンピックを観るくらいで終わってしまうかもしれませんね。」

 

 特に予定をいれずにのんびりするつもりでも、生活のリズムが崩れて体調がおかしくなったり、のんびりしたくても仕事のことが気になって、オフィスに出社したり、ネット経由で仕事のやりとりをしてしまったり、結局、休んだことにならなくなる虞がありそうです。

 

「休む予定? ないですよ。いつも通り、仕事です。」

 

 今回伺った起業家のなかで、意外だったのは仕事をするという回答が1人だけだったことです。3分の1、もしかすると半数近くの人は仕事と回答されるのではないかと予想していましたが、起業家の多くの方は、計画的に夏休みを取っているというのが実感できました。

 

起業家らしいといえば、ただ休むのではなく、何か新しいことにチャレンジする傾向が見られる点かもしれません。自宅で模擬キャンプ、キャニオニング、新刊書を読むとか、イベントに参加するとか、積極的に新たな行動を取ろうとする方が少なくありません。

いずれにしても、できるだけしっかりと夏季休暇をとって、今年後半の仕事に集中できるようになれば、休みをとった効用があったということになるでしょう。もっとも、休暇中はこういう発想から脱却しないと、休暇を取っていることにはならないのかもしれません。

 

【注1

たとえば、次のような記事に夏季休暇の効用が述べられています。

http://forbesjapan.com/articles/detail/13062

 

作成・編集:経営支援チーム(201682日更新)