一年の計は元旦にあり(後)

一年の計は元旦にあり(後)

 

前半より続く

 

さて、正月も7日ともなれば、うちうちで親しい関係者だけに言うか、プレスリリースやCEOからのメッセージとして社内に公表するか、方法はともかくとして、何らかの形で一年の計を決めて表現された方も多いことでしょう。

大事なのは、それを実行することです。「言うは易し、行うは難し」と言いますが、言いっ放しでは意味がありません。どこまで実行して結果に結びつけるか、ポイントはそこに尽きます。

ちなみに、昨年の一年の計はいかがだったでしょうか。

 

個人的な目標であれば、三日坊主で終わってしまっても構いません。昨年の年初に立てた目標を忘れてしまっても、そもそも忘れてしまう程度のことだったわけで、さほど重要なものではなかったのでしょう。

ビジネスの第一線にいる起業家やビジネスパーソンにとって、仕事や事業に関する年初の目標は、忘れた、できなかった、では済まされません。その結果は、自分ひとりのことではなく、いっしょにビジネスに関わっている社内外の関係者から、顧客やビジネスパートナーなどに影響します。少なくとも、一年の計を考える前に、昨年の目標や計画を振り返ってみて、そこから修正点を見つけることは必要です。

 

改めて言うまでもないことですが、「やりたいこと」「できること」「やるべきこと」、この3つは一致しないのが普通です。

目標を立てるということは、一般的にいえば、「やりたいこと」と「できること」のギャップ(できていないこと=課題)を、いつまでにどのようにして埋めていくか、ということを考えて表現することです。

昨年と比べて、「やりたいこと」が変わっていないのは、ある意味、当然でしょう。むしろ、ビジョンが毎年次々と変わるほうが問題といえます。

その一方、「できること」が昨年から大して変わっていないとすれば、そしてその結果として、今年の一年の計が昨年のものとあまり変わっていないとしたら、これは大きな課題と言わざるを得ません。なぜなら、「できること」が大して変わっていないということは、昨年1年間を通じて、これといった進歩がなかった(経営資源の蓄積・開発が進まなかった)ことに他ならないからです。

こうした場合、実は「やるべきこと」に対処しているうちに、目標達成や課題解決に振り向けるべき経営資源が失われていたということが、往々にしてあります。優先順位の付け方の間違いともいえます。

少人数で事業を立ち上げたり、他の仕事をしながら起業の準備をしたりしている状況では、リーダーが処理すべき雑用を一手に引き受けてしまい、他のより重要な課題に直接取り組む時間がなくなってしまうのも、しかたがないことでしょう。

 

もし、昨年がそうであったのなら、今年は「やるべきこと」に対処する仕組みを作ることを優先的な課題として設定すべきではないでしょうか。

たとえば、「やるべきこと」は他の人に任せてリーダー自身は「やりたいこと」に専念したり、「やりたいこと」と「できること」のギャップを解消したりすることに3か月などの一定期間、集中して取り組むなど、チーム内で担当を意識的に分けてみることが効果的かもしれません。

もっと単純な方法は、次の通りです。

手始めに「やるべきこと」を今年のカレンダーに記載してみましょう。すると、「やるべきこと」の多くが、すでにやるべき時期が決まっており、それ以外の時間に、あまり余裕がないことに気づかれるのではないでしょうか。そこで、「やるべきこと」に優先的に時間を使う日と、それ以外の日を最初から区分して、スケジュールを立ててみるといったやりかたもあります。

 

起業を志すにせよ、ビジネスを開発・発展させるにせよ、リーダーの時間が最大の制約条件かもしれません。

本来ならば、年末年始の時期こそ、いつもとは異なる目で物事を見直す機会です。忙しいからこそ、「やるべきこと」を棚卸して、少しでも無駄と思えるところがあるものは取り止めるか、他の人に振り分けて、リーダー自身は今年一年の計に集中したいものです。

 

作成・編集:経営支援チーム(201617日更新)