ひとり人事委員会(2)
カードやリストを作成してから、自社の人材状況および経営課題を検討していきます。
最初に、一人ひとりを順番づけしたか、A~Dにランク付けしたものを、机かテーブルに並べてみましょう。
すると、ふだんは何となく感じていたことが、ランキングという形で目に見えてきます。そこには、経営トップがその時点で判断した人材の価値が、あからさまに表現されているはずです。
特に注目したいのは、役員だからとか、正社員だからということで、重要な役割を果たしてほしいはずの人が、本当にそうした役割を果たしているランキングになっているかどうかです。
そうでないケースが実に多いということを、経験上、言わざるを得ません。
中小企業やベンチャー企業では、社員の雇用区分に関係なく、当面、やって貰わなければならない仕事を、とにかくできる人に振るという状況が往々にして生じます。そして、いつの間にか、現実に戦力として会社に価値をもたらしている人と、そうでない人が固定化してしまいます。
ふと見ると、特定のアルバイトや外部パートナーが欠けると、即時に事業がストップしてしまうおそれがある、そんな状況は決して望ましいものではありません。
ビジネスの変化に応じて、社員にやってほしい仕事も変化します。限られた人的資源で、そうした変化に次々に対応しなければならない以上、雇用区分や組織上の位置づけと個々の人材価値が一致していないのは仕方がないことかもしれません。
特に、社外からヘッドハンティングみたいな形で採用した経営幹部(候補)には注意が必要です。そうした人材が実は、まったく機能せず、経営トップからも他の社員たちからも相手にされなくなるのに、3か月は十分な時間です。
また、経営トップの個人的なコネクションで採用した人も、個人的な感情や採用の経緯は別として、改めて、その人材価値を冷静に判断しなければなりません。
さて、このようにランク分けをしてみると、3か月前、6か月前に考えていたことや、やらなければならない仕事などが、今とは大きく違うことに、改めて気がつくかもしれません。
一方、変わっていないこともあるはずです。たとえば、個人ごとのランキングは変動していても、経営トップとして判断している、その基準や判断要素は変わっていないのではないでしょうか。
もし、そうであれば、その基準や判断要素が本来の評価基準であるべきです。そうでないと、人事の仕組みとしての人事評価と、経営判断としての個人ランキングが一致しないことになります。
換言すれば、もし、人事評価の結果と、今、目にしている社員のランキングが大きくずれているのであれば、早急に人事評価を見直さなければなりません。これも、かなりの頻度で見受けられる事象です。
作成・編集:経営支援チーム(2015年7月1日更新)